「シャキッと、蓮根。」
水の中で静かに眠る 力強く伸びやかな茎
熊本県宇城市松橋町 れんこん農家
中塘万格人さん
殿様にも愛された スーパーフード
熊本名物といえば、ピリッと辛い“からし蓮根”。病弱だった肥後藩の初代藩主・細川忠利公のために考案され、その滋養と妙味を、殿様も大いに喜ばれたそうな…。そんなエピソードを持つれんこんは、栄養満点のスーパーフード。「大ぶりで味もよい」と評判の産地、松橋町には広大なれんこん畑が広がっています。地域の農家が集う「やまびこ会」会長の中塘さんにお話を伺いました。8月下旬~翌年の3月までが、れんこんの出荷時期。今年は、天候に恵まれなかった割に上出来かな」と中塘さん。この土地でれんこんの栽培が始まったのは、なんと100年以上前のことだとか。「このあたりは、古くからの干拓地なんですよ。水持ちがよく海に近いので土壌のミネラルもたっぷり。れんこんの栽培にはもってこいですね」と笑顔の中塘さん。しかし、水と土の環境を極めなければ、質の高いれんこんを育てることはできません。会では、独自の工夫を凝らして土壌の改良に努めているそうです。
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土中をぐんぐん伸びる地下茎
ご存知でしたか? 私たちが普段お店で目にするれんこんは、実や根ではなく地下に伸びた茎だということを。特徴的な穴は、発芽に必要な空気を保つためにあるのだとか。次の世代へ命をつなぐため、栄養たっぷりの土に守られ、静かに収穫の時を待っているのですね。ちなみに、収穫が始まったばかりの今は、歯応えもみずみずしさも一級品。新物ならではの味わいをお楽しみください。
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掘り取り、今昔物語
「私が若い頃は、鍬と手で掘り取っていたんですよ」と中塘さん。現在は機械化され、高圧の水流を活用して収穫を行っています。これにより、作業効率は飛躍的にアップ。収穫量は以前の10倍以上になりました。とはいえ、中腰で胸まで水に浸かって行う作業スタイルは昔と同じ。夏は汗びっしょりに、冬は震えながら掘り進めていくそうです。
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農薬や化学肥料には頼らない
やまびこ会のれんこんは、安心・安全な減農薬。除草剤を撒く回数を減らす分、人の手で草取りを行うなど、細やかな管理を行っています。栄養の足りない時には有機質の生物活性水で補うなど、とことん食の安全にこだわっています。
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七変化する食感にも注目
シャキシャキの独特の歯応えが魅力のれんこん。「油との相性が抜群にいいので、天ぷらやバター炒めが最高です。すりおろして生地に加えた“れんこんドーナツ”もおいしいですよ」と教えてくれました。すりおろしたれんこんは、トロ~リもっちり。栄養価が高く食べやすいため、介護食にも最適です。
生産者からのメッセージ
おいしい野菜づくりは、元気な土づくりから始まります。しっかり土壌と水質を整え大切に守り育てたれんこんは私たち農家が誇る宝です。旬のおいしさをお楽しみください。